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2009/07 NEW YORK |
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ビル倒壊
私のスタジオ近所にあったビルが倒壊するという事件が起きました。 写真は事故の起きた次に日のものですが、
私は倒壊直後にたまたま現場近くに居たので、その時の騒然とした雰囲気を体験しました。カメラを持っていなかった
のでその時の緊迫した状況の写真はありませんが、消防車が何台も駆けつけ、警察、救急車、マスコミなどの中継車、
ヘリコプターまで飛び交う一大事となってしまいました。 幸い中に居た住人達に怪我などは無く、通行人に軽い怪我が発生
した程度で済んだそうです。 住人の一人によると、バリバリッと建物の何処かが裂けるような音が聞こえ,危険を察知したそうです。
隣のビルの壁の一部もはぎ取られてしまい、両方とも撤収されるとの事。
倒壊したビルの一階にはバーがあり、NYに住み始めた時、近所だったのでよく ここで飲んだ思い出があります。
オーナーが変わってからバーの雰囲気もだいぶ変わってしまったので久しく行ってなかったのですが、今まであった馴染みの
建物が一瞬にして無くなってしまう事が不思議に感じられました。
地震の無いNYでは殆どの建物が古く、百年以上経っている建物などはざらにあります。しかしここまで見事に倒壊した所をみると、
随分と老朽化と構造上の問題が進行していたものと推測されます。真夜中にこの事件が起きた場合、 恐ろしい結果に繋がっていたでしょう。
死傷者がでなかったが奇跡的な幸運だったのかも知れません。
Nao
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2009 NEW YORK |
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Interview with Paul So - Founder of Hamiltonian Artist and Gallery
毎日新しい知識を得られ、生涯勉強という心構えを全う出来たらどんなに豊な人生なのだろうと思います。
最近、一度社会に出た人が自分の為に学校に戻ったり、独学で新しい教養を身につける事を良く耳にします。
"You are never too old to learn."- 歳をとっても学習できる 、という フレーズがあります。
アメリカでは若い生徒達に混じって、中年もしくは初老の学生を見かける事は珍しくありません。
私は怠け者なので、こうした姿勢の方に出会うと、尊敬と自戒の念にかられ、もっと毎日を満喫しながら生きようと思います。
今回のインタビューは 物理学教授でもあり、ワシントンDCを拠点にアーティストの活動を支援そして芸術の振興を担う
Hamiltonian Art Group 創設者の Paul So氏 にお話を伺いました 。
香港で生まれ、少年期をハワイで過ごし、大学時代をロスアンジェルス、大学院時代をアメリカ東海岸
メリーランド、そして現在はワシントンDCと人生の節目にかなり大きな移動を経験している。
現在、ワシントンDCにあるGeorge Mason University 物理学教授として教鞭を取る傍ら、
三年前に自身で立ち上げたプロジェクト、非営利団体 Hamiltonian Artist そして、去年の十月に
私が彫刻の個展をさせていただいた Hamiltonian Gallery のオーナーとして活躍している。
Hamiltonian Artsist というのは厳選なる審査の結果選ばれた若手アーティストの活動を
二年間のスパンで支援そして育成するプログラム Hamiltonian Artist Fellowship を運営する
非営利団体である。 毎年 ワシントン DC エリアで活動するミュージアムキュレーター、
ギャラリーオーナー、コレクター 、芸術批評家などで構成される審査員が推薦する若手アーティスト
(2008年は十人、そして09年は五人)に 奨学金 (年間$2000)を与え、毎月ゲストの
アーティストを迎え、Hamiltonian Galleryにて個展やグループ展をする仕組みになっている。
作品をただ発表し販売するだけでなく、各個展後、著名な批評家やコレクターなどを招き、パネル
ディスカッションや アドバイスなど、 アーティストとしての進路や方向性までも築く支援をしている。
特別なプロジェクトで費用が必要な場合、寄付金を募りアーティストの夢を実現化させる手伝いまでしてくれるの
である。ポールいわく Artist Incubator ?芸術家培養器 と呼べるそうだ。
私が去年の十月に招待され、若手アーティスト二人と三人展を Hamiltonian Gallery
にて開催した後、私も批評に参加させてもらいました。
物理と数学を専攻し博士号まで習得し、何故 芸術に関心があるのか訪ねてみたところ、
大学時代に絵画にのめり込んで美術の世界に興味を強く感じたからだそうだ。 しかし、普通なら
大学時代に美術を少しかじったからといって、本格的な芸術家育成/支援団体やハイエンドな
アートギャラリーまでスタートさせる人はあまりいない。 積極的に好きな作家の作品を集める
コレクターになったり、せいぜい美術館の会員になり毎年寄付をしたり位が一般的な姿勢である。
ポールの一家は代々、博愛主義者の家系で、文化的、人道的な活動に対して積極的に支援して
きた歴史がある。 絵画にのめり込んだ自分の経験を活かし、芸術関係の支援をしたいと思い、
安息年に構想を練り上げ、ダウンタウン ワシントンDCにギャラリー スペースとなる物件を購入する。
ただギャラリーを開けるだけでなく、大幅な増改築を敢行し 一階の展示スペースの他に作品保管倉庫を地下に、
そして二階建てのロフトスペースを上階にもうけた。 (建設プロセスは下記のブログにて) ギャラリー運営資金は
ロフトスペースの賃貸で賄い、作品販売だけに頼らず、安定した運営を確保する。 実に良く行き届いたプランであり、
アーティストにしてみれば至れり尽くせりの待遇である。 数年中にはLive / Work スペースも確保し、未来の
Hamiltonian Artist達に住居と仕事場まで提供しようというプランもある。
ポールは根っからの勉強家で教育者なのだと感心させられました。 私は美大で講師を努めていますが、
一番困るのがあまりにも 世間知らずで世の中を甘く見ている生徒に出くわした時である。 学校卒業後、スタジオを構え、
個展を毎年開いて、作品の販売で生活する、なんていうのは夢物語に等しい。 確かに、なかにはトントン拍子で成功し
美術界で星を掴む人もいます。 しかし現実はそう簡単には行きません。その行程で挫折し、あきらめ、己の美学の追求を辞めてしまうのが殆どです。
Hamiltonian Artist の目標はその過酷な道のりを二年間という期間でどれだけ飛躍させられるかにある。
それだからこそ、選ばれたアーティスト達を様々な角度から支援そして教育する設定になっているのである。
この不景気のなか芸術作品の売買 が冷えきってしまった事に対してポールはギャラリーとしては苦しい
が芸術界の為にはポジティブな事だという。 ここ数年アート界は コマーシャルな方向に進み過ぎ、本来求められている斬新さ、
オリジナリティーやインスピレーションに乏しい。コマーシャルな方向を修正するには物が売れなくなる事が一番効果的である。
芸術作品としてクオリティーの低い作品や中途半端な姿勢で芸術に取り組む作家が淘汰され、マーケットが一度リセットされる。
ひたむきに作品を作り続け、諦めずに芸術を追求した者だけが残る。数年後、景気とアートマーケットが復調した時、
Hamiltonianの抱えるアーティスト達を万全の状態でその波に乗せる事を狙う、と語ってくれました。
これだけ入念なプランの元 運営されている芸術家支援/育成 団体というのは私も聞いた事がありません。
至れり尽くせりの支援体制、選ばれたアーティスト達が羨ましく思えます。今はまだワシントンDC近郊のアーティストしか
審査の対象にしていないそうですが、これからは海外の作家達を招待し、新しい作品を発掘し続けたいと言う。
現在、香港と北京にあるアートギャラリーと提携し、アーティスト達の交流を進めているそうだ。
日本の若手アーティスト達も積極的に応募して欲しいそうです。 ただし、今はビザ サポートは出来ないので
自分でビザを取得してなら受け入れられるとの事。
そこで、私の個人的な意見 ですが、ビザ取得の為にワシントンDCにある語学学校に入校し、
Hamiltonian でアート制作、そして夜は日本食レストランでバイト、といった熱く、ハングリーな姿勢で芸術に取り組む日本人
アーティストの出現を待ち望みます。
http://www.hamiltoniangallery.com/
http://www.hamiltonianartists.org/
http://hamiltonianblog.blogspot.com
Nao
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2009/06/16 NEW YORK |
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Bushwick Open Studios
NYでコンテンポラリーアートを堪能したい、と思う方の殆どはマンハッタンの チェルシーに足を運び、
ギャラリー巡りをするでしょう。しかし、ギャラリーで見る作品は飽くまでも展示と発表の為にニュートラルで
綺麗な空間に置かれた物であってアートの現場の半分でしかありません。アートの現場のもう半分、スタジオや
アトリエは一般には閉ざされた空間であり普段から見れるものではありませんが、Open Studio というイベントでは
アーティストが自分のスタジオやアトリエを開放し、来訪者はもう半分のアートの現場を生で体験できる興味深い物です。
先週末、NY最大規模の Open Studios イベント、Bushwick Open Studios (ブッシュウィック オープン スタジオ)
が開催され、話題となりました。
1990年代からアートギャラリーシーンはソーホーからチェルシーに移動、そしてアーティスト達は安くて広い物件を求め、
マンハッタンからブルックリンのウイリアムズバーグに移動し始めました。当時のウイリアムズバーグは工業地帯で、
工場や倉庫の立ち並ぶ人気の無く治安の悪い地域でした。 ドラッグが横行し、野ざらしになった廃墟にホームレスや
ジャンキーが住んでいるような所も多くありました。 経済状況の向上と交通の便が良かったのも幸いし、徐々にウイリアムスバーグ
は工業地帯の危険な街から、今では20〜30代に最も人気のある、おしゃれでヒップな街へと急激に変化して行きました。
イーストリバー添いの工場だった物件や建物がロフトに改造されたり、カフェやレストラン、流行の先端を走るブティックなど
立ち並びとても住みやすい街へと変化し、 海外のガイドブックにも載るようになりました。
私もウイリアムスバーグの変化を目の当たりにしてきました。暗くなると身の危険を感じる位ピリピリした街並も今ではその
面影すら感じられません。暮らし易い安全な街への変化は歓迎しますが、昔のエッジーで危ない雰囲気が無くなってしまった事を
悲しく思います。ウイリアムスバーグの家賃が高騰しアーティスト達はまたもや安くて大きな物件を求め今度はLトレイン沿いの
ブッシュウィックへと移動しました。現在のブッシュウィックは昔のウイリアムスバーグの面影が残っていて様々なアーティスト
やクリエイティブな人種がこぞってスタジオやアトリエを構えています。
今回のオープンスタジオでは、様々な個人のアトリエだけではなく様々なイベントが平行して行われ、200カ所以上のスペースが
一般に公開されました。限定されたエリアにこれだけのアートスタジオが密集しているだけでも驚かされます、
NYコンテンポラリーアートの隠れた拠点と言えるでしょう。そして 何よりも個々の作品の多様さに驚かされます。
平面、立体、ビデオ、パフォーマンス、等、ありとあらゆる手法で個性や美学を表現しようとするエネルギーと情熱にただ
脱帽するばかりです。アートの世界に携わっていなくともこの流れは刺激的な体験になるでしょう。
スタジオやアトリエで展開される世界を見る事でその作品や作者に対する思いが深まる気がします。綺麗に整理整頓されている
スペースもあれば、グチャグチャで乱雑なスペースもあったり、普段は公開しないような作品や未完成の作品などアーティスト個人の
精神的な側面さえ垣間見える、貴重な経験だと思います。
アートギャラリーにてギャラリストやコレクター達と交流するきらびやかな世界が「陽」であるならば、地道で偽りの無い作業行程、
アーティスト個人の苦悩やひらめきが交錯するスタジオでの世界が「陰」なのか、それとも 華やかな世界の裏にあるビジネス的で
ドロドロとした人間関係を「陰」とするならば、一人スタジオにて外界を遮断し、自分の世界に没頭できる至福の時を「陽」と感じるのか、
表裏一体、両方の世界を合わせたものがアートの現場であり、どちらが欠けてもいい結果は生まれない、故にアーティストとして成功する事
の難しさが潜んでいるのでしょう。
前回レポートしたアーティストのローリーカークブライドのスタジオもブッシュウィックにあり、今回彼女はインスタレーションの新作、
"Pink Green" を公開し大好評でした。蛍光ピンクのゴルフボールと緑の鮮やかなコンビネーション、彼女の絶対色であるピンクと
グリーンで訪れる人の目を釘付けにしていました。
土日の二日間だけでしたが、かなりの数の来訪者が訪れてくれたおかげでとても楽しいイベントになり収穫もかなりありました。
来年も楽しみです。イベントの詳細はこちらのサイトにて。
http://artsinbushwick.org/
Nao
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2009/06/06 NEW YORK |
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I-Candy
以前インタビューをしたアーティスト、Lori Kirkbride の個展がテキサス州 ダラスでありました。
今回は180cm x 180 cm のパネルに描かれたペインティングを七枚、そしてTag Sale のインスタレーション
を600枚とカラフルで派手な作品を発表しました。
ギャラリー一杯に展示された作品を見ると彼女独自の世界が見えます。オープニングに訪れていた方々
皆、彼女の作品を見るととてもハッピーな気分になれると口を揃えていました。
来週行われる、Buschwick Open Studios のイベントには新しい試みの
インスタレーション、 "Pink Green"を発表する予定ではりきっている様です。
不況の中、アート市場は厳しいものがありますが、ドバイや不況とは縁の無い国のコレクターや、
NYのキュレーター達が彼女の新作に注目しています。
日本でも彼女の作品が見れる日も近いでしょう。
Nao
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2009/05/22 NEW YORK |
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Brooklyn Design 2009
今年もBrooklyn Design が いつもと同じDUMBO エリアにて開催されました。
不景気の影響なのか、今年は会場も一つで、全体的にも小じんまりした印象でした。
今年は私は作品を展示していませんが、 前回のインタビューで紹介した アーキテクトオフィス、
Horgan Beckett の二人、と去年 私とコラボレーションで作品を出展した OSO Industries もブースを展開していました。
中には製品としては成立しなさそうな斬新なデザインも見られ、ブルックリンらしい、
勢いのある作品が目を引きました。景気が悪くてもクリエイティブな 心意気は止まらないという姿勢に共感しました。
Nao
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2009/04/23 NEW YORK |
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Waiting for Coyote Revisited
少し前にWaiting for Coyoteという彫刻作品を紹介させていただきましたが、つい最近、ブルックリンにある City Reliquary Museum というところでプレゼンテーションをさせてもらいました。
http://cityreliquary.org/
この小さなミュージアムではニューヨークシティにおける時代の移り変わりを色々なアンティークやその時代に使われていた道具や標識などで綴るユニークな博物館です。 一見、ふつうのbodegaにしか見えませんが中に入ると、古めかしい様々な物が陳列されています。 地下鉄のつり革やら、地図、ポスター、工具など、NYCにゆかりのあるものが所狭しと並べられていて、歴史の一端をかいま見る事が出来ます。
この日のテーマはセントラルパークで捕獲された野生のコヨーテ、Halの追悼式で、アーティストや学者達のコヨーテやセントラルパークにまつわるエピソードやプロジェクトを公開してくれました。
当日の模様はこのリンクから: www.actiondirection.blogspot.com
この日の前夜にコンタクトを貰い、当日に私の彫刻をプレゼンして欲しいとの依頼を受け、急遽飛び入りで参加させてもらいました。
アーティスト の Dillon de Give は入念リサーチの元、構成された、ルートでHALの辿った道のりをセントラルパークから徒歩でさかのぼるプロジェクトを発表しました。
その内容はこのリンクで: www.implausibot.com/coyote/hal1.html
後に彼に会い、聞いた所、三日間歩いてHalが生息していた森林地帯に辿りついたとの事でした。 結構タフな道のりだったそうです。
歴史学者のKay Turnerはアメリカ先住民達の昔話に登場するコヨーテのエピソードなど、アメリカにおけるコヨーテのイメージや象徴される事柄の歴史を学者らしく、紹介してくれました。
私は手短かに自己紹介と作品のプレゼンテーションをさせてもらいました。 狭い会場に60人程の人出でしたが、人前で話す事はあまり得意ではないので、簡潔に終わらせてもらいました。
会場に来ていた人達に、この中にニューヨークシティで生まれ育った方は居ますか? と問うと一人もいなかったので、あなた達もこのコヨーテのようなものですよ、と言うと軽い笑いがとれたので、良かったです。
Nao
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2009/03/08 NEW YORK |
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Cayce Becket & Gregory Horgan
ここで生まれ育っていない限り、NYに生活する人は皆移民と言えます。明かりに群がる蛾や磁石に吸い寄せられる砂鉄のように世界中から様々な人が集結しています。 確固たる夢や目標を持つ者もいれば何となく流れ着いてしまった者、誰もが羨むような成功を納めた者、そして夢破れ消えてゆく者、様々な理由や境遇の持ち主に出会います。 私もこの街に魅了され住み着いてしまった者の一人ですが、Cayce Becket と Gregory Horgan の二人も 建築家になる事を目標にNYに移住 、現在は夫婦で独立した建築事務所Horgan Becketを立ち上げています。
二人とも1995年に 学生時代にNYに渡り、建築を専攻。卒業後、他の建築事務所で経験を積み、二年前に現在のオフィス兼工房を設立。NYに着々と根を張り、自分達の夢を現実化している。
Casey は、ロス アンジェルスのサンタモニカ出身、一家三代にわたって、男性親族の殆どが建築家と言う建築家一家に生まれ、幼少の頃から建築家になる事を目指した。 当時、ロスとNYの建築学校二つに合格し、NYを選んだ理由は、生まれ育った街を離れ異文化の刺激を受けたかったからという。
Greg はアメリカ中西部のミズーリ州出身、大工職人の父の影響で建築を学ぼうと思いつく。地元の建築学校に進学するが、彼の才能と熱意を見抜いた教師達の勧めでNYの大学に編入する。片田舎を離れ都会に身を置き、最新の技術や知識を吸収しようと思った。
ほぼ同じ動機でNYに移り、二人は学生時代に出会い、交際を経て結婚、そしてビジネス面でもパートナーと、まさに二人三脚で歩んでいる。
NYの魅力は何か、と訪ねると様々な分野で文化の最先端であり、発信地だからだという。街全体にエネルギーを感じられて、常に動いている感覚がクリエイティブな感性を刺激される。 ありとあらゆる人種がひしめき合い、乱雑だが、勢いを体感できる所がこの街を離れたくない理由だと言う。
建築家の視点からこの街の魅力を語って欲しいと聞くと、NYは殆どの建物が一世紀前の建築であり、それらの建物はみな武骨で重厚なたたずまいがあるからと言う。ここ最近の建築ラッシュで、薄っぺらな、偽物の建物が増えた事は賛同できないという。
例えば、彼らのオフィスの所在するビルは約 200年前に建てられた工場で、持ち主が変わるたびに用途や内装を変えながら使われてきた、昔ながらのレンガ作りのビルである。レンガの壁は厚さ40cm程あり、
梁に使われてる鉄骨は現代の建築基準では考えられない程大きく、肉厚である。 鉄製の柱と梁をつなぐ強固な連結部分を見ると、古き良きアメリカの名残りを確かに感じさせられる。NYの街で消火栓を見ると、やはり古い消火栓のほうに重厚な魅力を感じるのと同じ感覚だと思う。昔のアメリカ車や軍隊装備を魅力的に感じる私にとっては親しみやすい、Heavy Duty な美学とでも言うのだろうか。
一度作ったら一生使え、頑丈で偽りの無い作りを持つ建物に魅了され、ブルックリン内にオフィスを探していた時にこの物件を見付け、即決したという。ただ、この物件も一つの大きなスペースであり、オフィスと工房を区切るための内装工事、配管、電気工事、全て二人でこなしたという。 足を踏み入れた瞬間からここは二人の美学をあらゆるディテールから感じられた。
職人肌のグレッグは鉄工を得意とする。 溶接設備の整った工房は整理整頓が行き届いて、いつでも仕事に取りかかれる体制が伝わってくる。鉄工所と言うと、汚くて危ないイメージが付きまとうが、ここは鉄屑一つ落ちてなく、床にも油のシミなど一つもない。プロほど毎日の仕事の後の掃除を徹底すると言うが、この辺にも父親譲りの職人気質が感じられる。
オフィス内も居心地のいい、仕事がはかどるような作りになっている。 窓から十分な明かりが入り、図面や資料がすぐに調べられる無駄のないレイアウトを見るとさすが建築家だと感心させられる。
壁には様々な模型やプロトタイプが並んでいる。建築の仕事の合間にこうした模型を作りながらイメージを膨らますそうだ。二人はプロダクトデザインにも進出するプランがあるという。
グレッグが熱っぽく語ってくれたのがデザインプロセスの中で湧くインスピレーションの重要さである。 デザインから実際の物を作る過程で様々なひらめきがあり、その可能性を最大限に活かすのがデザイナーの仕事である。例えば、テーブルの足をデザインしている時に、高層ビルのイメージが湧いてきたので何種類かのマケットを作り、違う材質で試行錯誤する。 発信点のスケールを置き換え、ミクロの視点でマクロなアイデア、もしくはマクロの視点でミクロなアイデアと二つの視点を何度も往復する事によってインスピレーションの可能性を探り、応用する事が出来る。エンパイアーステートビルも一本の鉛筆を立てた時のインスピレーションを元にデザインされたものだと言うのも説得力がある見解である。
独立した事務所を持つ事によって 大きな事務所には求めにくい要望や顧客のこだわりにも対応出来き、一つのプロジェクトに対してクオリティーを高められる。
そして彼らのような小さい事務所にしか出来ないような仕事を世に送り出して行きたいとこれからの抱負を語ってくれました。
Nao
www.horganbecket.com
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2009/01/10 NEW YORK |
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SCOPE Miami - International Contemporary Art Fair
毎年フロリダ州マイアミでは12月に様々なコンテンポラリーアートフェアが開催されます。 Art Basel Miami, SCOPE Miami といった会場に世界各地からの アートギャラリー集まりが展示会を開きます。 このようなイベントはアメリカ各地で行われていて、 ニューヨークでも毎年秋に開催されます。
SCOPE Miami にて、私の作品も二点、Hamiltonian Gallery の展示スペースにて出展させてもらいました。 前回のブログでも紹介した、Wonderful Healthy Orgasmic Recreational Electronics, と Vvvvvvvvenus という作品です。
この一週間、マイアミでは様々なアート関連のイベントや催し物が開催され各地から著名なコレクター、キュレーター、美術評論家、ライター、アーティストが集まります。 一カ所のイベントで一気に数百以上のアートギャラリーが抱える作品を見れる所が魅力です。
今回私はマイアミまで行けないのが非常に残念です。 これほど沢山のアート関係者達とのネットワークを広げるチャンスを逃すのと、マイアミの暖かい気候を楽しめないのが心残りです。
世界中の金融危機で美術品の売り上げがクリスティーズやサザビーズのオークションでさえ半減している中、自分の作品が売れるかどうか分かりませんが、売れた場合、自分に対するいいクリスマス/誕生日プレゼントになります。
誰か買ってくれ!!
このイベントに合わせて、自分のウェブサイトを一新しました。まだ完全では無く、家具の画像などを掲載していませんが、すぐにアップデートしたいと思います。 暇があるとき見てみてください。
Nao
www.naomatsumoto.com
www.scope-art.com
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2008/10/23 NEW YORK |
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HAMILTON IAN GALLERY GRAND OPENING
先週末にワシントンDCのHamiltonian Galleryにて私の個展が開催されました。
UZIKサイトでは Nao Matsumoto Solo Art Exhibition と書かれていましたが、厳密に言うと、三人展です。私のほかにもう二人のアーティスト、 Ian Maclean Davis そして Bryan Rojsuontikul と作品を展示しました. この二人はHamiltonian Fellowshipと言うHamiltonian Gallery の主催するアーティスト育成プログラム出身のアーティストです。 Hamiltonian Fellowship の詳細については Executive Director の Dale Ihnken 氏とのインタビューにて掲載します。
私は今回5点作品を展示させてもらいました。その中の二つが最新作の ”Wonderful Healthy Orgasmic Recreational Electronics” と”Remote Controlled Referee with Deluxe Ring Play Set and Judgement Monitoring System” です。 二点とも長ったらしいタイトルですが日本語に訳と モ素晴しくて健康的な性的絶頂感に導くレクリエーション用電化製品メ そしてモ遠隔操作レフリー 豪華リングセット、判断モニター付属メといったと
ころでしょう。 訳の分からないタイトルですが今回はこういうタイトルで行こうと思いました。二点とも様々な矛盾を皮肉や冗談でつついた内容です。
”Wonderful Healthy Orgasmic Recreational Electronics”の頭文字は ”WHORE”になります、 この単語は通常、売春婦、と言う意味ですが、お金や目的の為になりふり構わずモラルに反した事でも何でもする人の事を
意味します。 台の上に乗っている金床は”Waiting for Coyote”で使った同じ型を使用していますが、今回の素材はシリコンゴムをピンク色に着色したものです。
この金床の内部には強力なコンクリート成形用のバイブレーターが内蔵されており、 25セント 硬貨を料金投入口に入れると5秒間振動する構造になっております。
本来金床とは鍛冶屋が熱した金属を叩く物であり、物を叩く時の擬音語の”bang”と性行為と意味するスラングの ”bang”をかけ合わせてあります。
一言でWHOREというタイトルと”WHORE”のエンブレムを見る限り、英語では結構ストレートに伝わるのですが日本語だと結構説明するのにてこずりますね。
オープニングに来てくれた人々も触ったりある人はまたがったりして大笑いしていました。
ニューヨーク州知事だったElliot Spitzerが買春スキャンダルで失脚した時に思いついた作品ですが、
売春婦を茶化しただけの作品ではありません。皆さんの想像に任せますが、結構深い意味合いがあるので考えてみると面白いでしょう。
私は子供の頃からプロレスを見て育ちました。昔はレフリーに全く関心が無かったのですが大人になってレフリーの重要な役割などに気づくように
なり裁く側からの視点に興味を持つようになりました。プロレスに関して話すと長く複雑な話になるので止めときますが、スポーツに
限らず人は全ての物事を判断し裁きをつけながら生きているような気がします。 数ある選択肢の中からその時々によって自分に一番良い
または合った判断や判定をしながら生きています。
”Remote Controlled Refereeモ”はおもちゃ、または冗談とも思える見た目とは裏腹
に”裁く”と言う言葉をあらゆる角度や深度から表現している真剣な彫刻作品です。
まず始めにレフリーや審判の中立性を問う事からはじめてみましょう、最近ではNBAのレフリーがギャンブルで抱えた借金の返済に非合法なスポーツ
賭博組織の為に試合で片方のチームが有利になるような判定を下していたという事件がありました。相撲界も八百長疑惑などで揺れていますが、
レフリーの買収などありとあらゆるスポーツに存在しています。 疑わしい中立性、白黒のはっきりしない灰色、グレーゾーンにレフリーの立場は存在します。
グレーゾーンにいるレフリーを監視するカメラも四方のコーナーに取り付けられていてレフリーの行動全てを見逃さずにとらえる事が出来ます。
最近ではありとあらゆるスポーツのきわどい判定にビデオ判定が用いられています。 審判の判断よりも現実を写すカメラが真実という事になります。
白黒をハッキリさせるという意味合いを持たせる為にモノクロカメラとモノクロモニターを使いました。
しかし真実が求められているのならば、 レフリーの立場は何なのだろう? 全てカメラに納められている場合、果たしてレフリー
など必要なのだろうか?と言う疑問を指摘するための付属品だと思ってくれればいいです。
レフリーや審判を自分の思う通りにコントロールできたら試合結果のみならず試合内容までも自分の思うがままになります。
しかしそれで本当にエキサイティングな内容になるのでしょうか? 試合を人生に置き換えた場合はたしてそれでいいのだろうか?
ハプニングや偶然の産物程面白いものはありません。 ランダムな予測できない事があるから試合ム人生は面白いのでしょう。
リモコンでレフリーを操れば自分の都合の好いような試合ム人生が送れますが当然飽きてしまうでしょう。
レフリーや審判になる人は多くの場合その競技の元選手だった場合が多く見受けられます。評論家や解説者などもそうです。
スポーツならまだしも、美術の世界でも評論家やにわかレフリーのような人達に遭遇します。 本来自分の感性や自由な表現を目指すはず
の芸術家になる事をあきらめ、人の作品をあたかも全て分かったような口調や論調で語り、自分の感性に合わないからと言って的外れな批評を下す輩です。
そうした批評がメディア媒体に載る事によりそれを鵜呑みにしてしまう人も困りますが、受ける側よりも発信する側のほうがタチが悪いでしょう。
もっと悪いのはそうした情報をあたかも自分の判断のように吹聴するレフリーになりたがる人達です。 もちろん美術批評家全てが悪いとは言いません、
中には的確で分かりやすい素晴らしいプロの批評家もいます。 私は飽くまでも一選手、一アーティストで居たいと思うので、レフリーにはなりたくありません。
ただ自分も作品に息詰まった時や人の作品に嫉妬を感じる時に全て分かったような口調で物事を語る嫌なレフリーになっている事に気付きます。
この作品には自分にそうならないような自戒的な役割もあります。
ほかの三点に関してはまた次回に紹介したいと思います。オープニングの次の日は予想していたように二日酔いでぐったりしていました
がとても楽しい週末でした。これで展示作品全てSold Outなんて事になれば最高ですが。
ギャラリーオーナーのPaul So 氏、シゲルさん、Jackie、Dale そしてアーティストのBryan, Ian とオープニングで出会った全ての方々に感謝します。
芸術家になる事を志に渡米し、 アメリカの首都で彫刻個展が開けた事は私に取って感慨深いものがありました。
Nao
http://www.hamiltoniangallery.com/matsumoto_nao.html
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2008/10/11 NEW YORK |
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Show
来週の土曜日に個展が始まります。
真新しいギャラリーでのトップバッターを努める事になり少し緊張しています。
作品の制作も終わり、梱包も終わりあとは搬入と設置だけです。
個展終了後に必ずと言っていい程、訪れる虚無感、脱力感に浸からないように
気をつけます。
その後、アートは少し休んで家具に集中しようかな、なんて思います。
オープニングの晩にあんまり飲み過ぎないように、と思っていますが
多分飲んじゃうでしょう。
Nao
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